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天使のレリーフ ☆

宮部みゆきさんが書き下ろした『小暮写眞館』を読みました。
このところ時代物作品ばかりだった宮部さんの、なんと3年ぶりの現代エンターテインメントです。

宮部さん自身が時代物を書くのがお好きとおっしゃっていましたが、
私は「今」を描いた作品を待っていましたよ

題名だけみると写真館のお話のようですが、実は小暮さんではなく花菱家のお話・・・
「古家あり」の土地を買った花菱家。そこに建っていたのが築33年の
小暮写眞館でした。本来はコインパーキングにでもするのがベストな土地だったのですが、
花菱家が元写真館にそのまま住むことにしたところから物語は始まります。

写真館の看板もウィンドウも当時のままに住み始めたので、
写真館を再開したと勘違いした人々から様々な写真や調査依頼(?)が舞い込みます。
主人公は花菱家長男・高校生の英一くん。
親友のテンコやコゲパンなど、魅力あふれるわき役たちも生き生きしています。
宮部さんはこのくらいの年代を描くのが、本当にお上手です。

今を生きる“彼ら”は明るい光の中にいるはずなのに、
時々、セピア色の写真の中のように感じるのはなぜでしょう?
きっと外から見ているだけではわからない、物事の本質があるからですね・・・

写真館に残る元の主人<小暮老人>の想いと
花菱家の人々が決して忘れることのない想いがリンクしてせつない場面もあります。
ホロリとしたり、笑顔だったり、時には嵐だったりする日常に、
少しだけ風変わりなエッセンスを振りかけたお話だと思います。

余談ですが、不動産屋の事務員(だけど重要な役どころ)の
「ミス垣本」さんですが、私の頭のなかでは『仲 里依紗』さんがずっと演じてました

700ページを超える読み応えのある本ですが、ぜひごらんください
4話からなるので、1話ずつ読むと良いでしょう。カバーの装丁もとても素敵です。
天使のレリーフ ☆_c0222486_2342271.jpg
 
 プリザーブドフラワー教室・パフュームデラローズ
by takai15kepu | 2010-07-20 23:59 | おススメ図書

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